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丘のうえから

転倒と骨折

平成27年9月28日

 骨折により医療機関を受診される患者さんは年間200万人以上に上ります。年齢と骨折率の関係をみると、転んだ時に骨折する率は年をとるにつれて高くなっていきます。60歳代の中半を超えると転んだ人のおよそ2人に1人が骨折しています。高齢になると筋力低下などで転倒しやすくなるだけでなく、骨粗しょう症で骨がもろくなっていることも背景になっています。高齢者の転倒による骨折は寝たきりの原因の第2位を占めるといわれており、たえず注意喚起を要する問題です。

 若い人では骨折しやすい部位については特定できませんが、高齢者では転倒によってわずかな外力で骨折を起こしやすい場所が4つあります。①足の付け根(大腿骨頚部骨折)、②手首(橈骨遠位端骨折)、③肩(上腕骨近位端骨折)、④腰(腰椎圧迫骨折)です。

 筆者が施設長を務める「すくよか」はこんごう福祉センター内にあり、重症心身障がい児者施設として医療と福祉が融合した施設ですが、開設から9年目を迎え、利用者の皆様の高齢化が進んでいます。転倒・転落の防止は日常最も注意すべき命題の一つとなっています。転倒予防のための運動として、ふくらはぎのストレッチ、下肢の筋力トレーニング、バランス訓練などを取り入れています。年齢を重ねていてもトレーニングを行うことにより、筋力の維持だけでなく増強も期待できます。これからも転倒・転落の防止に一層努めて参ります。